「第40回日本ロボット学会学術講演会」での学会発表を学生が行いました
2022年9月5日(月)〜9日(金)に東京大学本郷キャンパスで開催された「第40回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2022)」において、情報工学科3年生(ロボット開発コース)の2名が学会発表を行いました。
本講演会では、新たな社会基盤としてのロボット技術から学術的可能性を探究するロボットサイエンスに至るまで、多様な分野について、企業や研究所、大学などから発表がなされました。
今回発表を行った中島さんと德永さんは、3年生という早い段階での学会発表です。本学は少人数教育で、しかも、研究者教員と実務家教員の双方がいるため、学生たちは指導教員たちに、理論と実践の幅広い視点からのきめ細やかなアドバイスをもらうことができ、初めての学会発表に苦戦・緊張しながらも将来につながる貴重な経験となりました。
中島大志さん
学会発表までの経験を通して
私は、好奇心旺盛なので「ソフトロボティクス」というあまり聞きなれないロボット分野に大変興味を持ちました。特に研究事例が少なく、日本では最初とされる浮力相殺型のソフト二足歩行ロボットの研究に取り組めることで、わくわくしたことを覚えています。
研究では、ロボットの足底部を担当することになりました。しかし、「軟らかい素材」 というのが研究の特徴であり、一つの条件でしたので、しばらくの間は素材の選定や加工で難航し、とても苦労しました。同時に、ロボットの素材には、今まで全く知らなかった高価なものから安価なものまで豊富にあることを知り、それを取り扱う専門店などを発見することにも喜びを感じました。
また、西田先生からは、限られた時間の中でやり切ることの大切さや、折れにくい強い心の作り方を教わりました。どんな失敗をしてもいいから発表までやり遂げよう、と元気づけてくださったことで、自信にもつながったと思います。
発表中、参加中での気づき
私は緊張してうまく言葉が出てこなかったり、話しているうちに頭の中に色々なことを考えてしまったりするため、人前で話すことが苦手です。しかし、発表中の自身の行動を思い返してみると、緊張で頭の中が真っ白になりながらも途中で止めることなく最後までやりきれたのは良い経験となりました。これは、何度も繰り返し練習したことと、発表スライドノートを西田先生と丁寧に作り上げた結果だと考えています。手作りでの作業は記憶に残るものだと改めて感じました。練習では、前をみて大きな声で話すようにと指導されていましたが、緊張してあまり上手にできなかったことや予想外の質問が投げられたときに対応できなかったことは心残りです。今後は、質問用にスライドをあらかじめ用意し、念入りな質問対策を行う必要があると感じました。
※中島大志, 高田芳樹, 水上憲明, 西田麻美:
ソフト二足歩行ロボットによる足部(ブレード機構)の有効性について, 日本ロボット学会第40回学術講演会予稿集, 1K1-02,2022.(東京大学)
德永大河さん
学会発表までの経験を通して
私は、バルーン二足歩行ロボットの下肢継手(股関節部)について研究や実験を行いました。人生において、学術講演会で発表を行うような研究をしたことはなく、研究における計画の立て方、論文の記述方法、発表のやり方など、新しい知識・経験を得る機会となりました。初めて行った研究では、新しいことを経験できる楽しみや好奇心の一方、同時にそれらは研究活動の妨げとなることも度々ありました。実験の要領がわからず想定より時間を要してしまったり、論文や発表に必要な実験の記録や資料がわからなかったりと苦労の連続でもありました。
しかし、それらの苦労を乗り越えて後続の研究や他領域に貢献することのできる論文を残すことができたこと、また練習よりも良い発表を行えたことは何よりも自信につながる経験だと感じています。
発表中、参加中での気づき
初めての学会発表だったため、どのような発表になろうとも自分にとって良い経験になると思い、私が発表するセッションに参加された方々の胸を借りる気持ちで臨みました。発表までに情報工学科ロボット開発コースの先生方の指導や助言を何度もいただいたこともあり、当日は良い発表ができたと感じています。しかしながら、質疑応答においては、質問の意図をよく理解した回答ができていなかったこと、また、質問に対して的確な説明を行えていなかったことについては、練習を積んで改善していく必要があると感じました。
※德永大河,高田芳樹,荒金匡德,西田麻美:
バルーン二足歩行ロボットの下肢継手に関する研究~歩調と振り上げ角度の比較評価~,日本ロボット学会第40回学術講演会予稿集,1K1-03,2022. (東京大学)
関連サイト