2023.12.12
CG業界注目の職種「リガ―」の第一人者である、リブゼント・イノベーションズ株式会社 BACKBONE事業部 福本健太郎氏による演習方式の特別講義を実施しました
実務とつながる実践カリキュラムを実現した本学では、各界のスペシャリストやパイオニアによる特別講義によって、業界の最前線を学ぶ機会があります。
CGキャラクターにアニメーションをつけるリグ(動かす仕組み)を設定する「リガー」について業界第一人者である、リブゼント・イノベーションズ株式会社 BACKBONE事業部長 /リグコンサルタントの福本健太郎氏を特別講師にお迎えし、特別講義を実施しました。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』 (2023)
映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』 (2022)
『シン・ウルトラマン』 (2022)
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』 (2021)
『FINAL FANTASY VII REMAKE』 (2020)
『モンストアニメ 消えゆく宇宙編』(2017)
コンピューター・グラフィックス技術が絶え間なく進化と深化を続けるCG業界。
キャラクター・アニメーション制作は、キャラクターの造形を担当するモデラー、その造形物を動かす仕組みを担当するリガー、その仕組みを使ってキャラクターの動きを担当するアニメーターといった高度に専門化したプロフェッショナルに細分化されているのが実状です。
このように専門分野の異なる複数のプロフェッショナルがパイプラインを構成する制作現場において、リガーはモデラーとアニメーターの間をつなぐ重要な役割もあり、業界において注目の職種になっています。
ただ、比較的新しい技術分野のため、定評のある教育メソッドやテキストが存在していない課題があります。そうした中、今回の講義は、より学生たちの学びの効果を高めるために、ハンズ・オン(演習)形式の特別講義となりました。
また、業界発展のために人材育成に真摯に取り組んでおられる福本氏の「 キャラクター制作やアニメーションにおいて習熟するべき基礎は美術解剖学にあり、その知見を根拠に、感覚ではなくロジカルに制作を進められる人材を育成したい」というお考えのもと、今回の特別講義は論理から実践まで充実の内容になりました。
■特別講義の内容
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- リグのお仕事
- └ リガー人口の比率/リグ作業の内容/映像業界とゲーム業界
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- 美術解剖学
- └ プロポーション/筋肉の仕組み
- まとめ
- 質疑応答
前半は、モデラーやアニメーターに比べて情報が少ないリガーの現状、仕事内容、業界による役割の違いといった事柄について講義形式で進められました。福本氏が制作に関わった、学生にとって馴染のあるゲームやアニメーションの制作について話が及ぶと、学生から歓声が上がっていました
後半は、アニメーション制作環境であるMayaを使い、3D人体モデルを動かす仕組みを制作する演習形式で進められました。リグ初心者が感覚で済ませてしまいがちな骨の位置といった事柄の良し悪しについて、そこには美術解剖学の知見に基づいた明確な正解・不正解があるということが、それぞれのサンプルを例示しながらロジカルに説明。学生たちは正解・不正解の微小な違いが、キャラクターに極端なポーズをとらせたときに大きな違いとなって現れることに驚いていました。また、腕をあげた時の鎖骨の動きを友達同士で観察するといったアクティビティもあり、学生は楽しんで取り組んでいました。
合計3時間を超える長時間にもかかわらず、リガー志望の学生はもちろん、モデラーやアニメーターを志望する学生も最後まで積極的に手を動かし、福本氏に質問する様子も。福本氏は、そうした質問に一つひとつ答えながら丁寧な実践指導も行ってくださいました。学生たちにとって、第一線の思考法やスキルを体感できる貴重な機会となりました。
リガーをはじめ、時代が求めるプロフェッショナルな人材の育成は業界全体の底上げにもつながります。
本学では、これからも「産学連携人材育成」という観点で業界第一人者による特別講義を実施して知見を収集・蓄積し、それらを体系化する学びや活動を続けていきます。