International Professional University
of Technology in Tokyo
学長メッセージ
東京国際工科専門職大学 学長
吉川 弘之
【はじめに】開学の歴史 – 進化の構造を獲得した
2019年9月に開学が決定してから時間をかけて決めた2020年4月の開学のスケジュールは、COVID-19の突発によってその実施が大きな困難に直面しました。
しかし、わが東京国際工科専門職大学では、新しい制度の下での新しい大学の出発という、事の重大さの認識の下、教員たちはその困難をはねのけて遠隔ではあるがしっかりとスケジュールを守ることを決意したのでした。
従来の遠隔授業大学(放送大学、通信大学など)とは全く違う、本来教員と学生が対面で学習することが前提されている大学の遠隔授業とはどのようなものか。突然現れたこの課題に対して、遠隔のシステムを作ることに加え、教員たちは準備していた講義や演習を対面とは違う条件・環境にあったものへの変更をはじめとして様々な環境変化に対応し、また学生も遠隔という予期しなかった条件での学習によく対応しました。この過程を通じて未知の遠隔授業とは何かを明らかにしていくと同時に、それを超えて教育、学習とは何か、大学とは何かという本質的なことをも考える機会であったと思います。
多くの大学が新学期開始の延期を発表する中で始めた新しい大学を計画通りに始めるという特別の難しい条件のもと、教員、学生の共同作業でこの未知の課題に立ち向かったこれまでの教員の働きと学生の積極的参加は、本学にとって記念すべき、そして誇るべき歴史です。この歴史は、いずれ緊急事態から解放されて常態に入って行くとき、貴重なものとなると思います。
世界的規模のパンデミックは世界的規模で社会の様々な変化を余儀なくするものであり、それにしたがって私たち一人一人も考え方を変える必要があります。それにはいろいろな点がありますが、基本的なことは自分の周りには、人類の全体と自然の全体が現実として存在しているのだという実感です。この実感は共感であり、それから生まれるのは、人類の全体、自然の全体が自分にとって大切なものであるという認識です。そしてこの認識が、地球における人類以外の存在には目を閉ざして過酷な経済闘争に集中し、結果として対立と差別を生んでいる現在の状況から脱出して、人類が善き未来へと進む道を見出すのではないかと期待しています。
このことを今私は、東京国際工科専門職大学の使命と重ねて考えていますが、困難の中での難しい開学を知恵と協力で実現した我々の組織は、善き未来へと進むために不可欠な、進化の構造を獲得したと考えているのです。
INDEX