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学長訓辞 全文

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。名古屋国際工科専門職大学の教職員一同、皆さんの入学を心待ちにしていました。

私たちの大学はまだ歴史が浅いのですが、皆さんと本学教職員が一体となって研鑽を重ねて、今から4年後、今ここにいる一人ひとりがデジタル技術の深い見識と技術者としての高い倫理観を身につけ、自信をもって世界に羽ばたけるその日がくるよう、4年間の学生生活を共に送っていきましょう。

今、世界的に大きな変革が進み、周りの世界はガラガラと音を立てて変わっています。私たちの頭上に重くのしかかっている地球環境の問題だけでなく、新たに生じてきた東西の対立、南北間での経済的な格差、価値観が違う政治体系や経済政策、あるいは文化、宗教の相克、そこに生じる問題に対して、世界はコロナ禍を乗り越えて、根本的な問題解決を模索し、新たに変革された世の中の姿として私たちは目の当たりにすることでしょう。
身近な例として、「ジャスト・イン・タイム＝必要なものを必要な時に供給する」という考え方をもって世界的に有名になったトヨタ自動車は今、「ジャスト・イン・タイム」に代わる新しい考え方として「ジャスト・イン・ケース」を掲げ、激しく変わる周囲環境に対して、いかに早く対応することができるかに取り組んでいます。企業あるいは国という組織体が周囲の急激かつ大きな変化に対して、どれだけ早く対策を講じられるかが重要であるという考え方に変わってきています。このような大きな変革を支える技術として、デジタル技術は非常に大きな役割を担っており、その技術を修得できるのが私たちの大学の情報工学科です。そして、この情報工学科の中には3つの技術に関する専門分野があります。従来人類が蓄積してきた知的資産を集約して、意思決定や方針決定など、重要な機能に結び付けることを可能にするAI技術、必要な情報を合目的的に集約し、目的達成を実現するIoT技術、さらには肉体的・心理的な負担から私たち人間を開放するロボット技術です。
一方で、激しく変わる世界の中でも変わらない世界、変わってはならない世界があります。例えば、にこにこ笑っている赤ちゃんの笑顔をみて激しい怒りを感じる人は、世界中どこにもいないでしょう。あるいは、朝日が昇る光景を目の当たりにして、突然絶望感に襲われるという人もいないでしょう。制度、国、文化、宗教が異なり、そして住んでいる場所が違う。しかし、世界中の誰もが同じような反応を示します。この世界は変わらない世界です。では、なぜ政治・経済の制度が変わっていても、この世界は変わらないのか。それは、人間が生命体としてもつ命の働き、それが表に出てくるときの姿が変わらないからです。
あるいは、このことは音楽、絵画といった芸術の世界に通じてくるのかもしれません。だからこそ、世界中の万人に共通のものとして変わらない世界がそこにあるのだと思います。
私たちの大学には、このような世界に対応してデジタルエンタテインメント学科という学科、具体的なコースとしてCGアニメーションコースとゲームプロデュースコースを設けています。私たちの命の働き、この世界への発露を具現化し、そして社会に対して新しい価値を作り出していく人材として、皆さんが成長し、活躍するための学びがこれらの学科とコースにはあります。

情報工学科、デジタルエンタテインメント学科は全く違う道を歩んでいくように見えるかもしれません。しかし、私たちがデジタル技術を使い、活かしていこうと見据える先は共通で、この世界を構成している生命体の一つとして、人間がその命の働きを表に出し、その表に出てきた叫び声を、デジタル技術によって具体的な形に仕上げ、社会に新しい価値を作り出していくことなのです。違う世界にいる者どうしが、満足度や達成感、恍惚を共有し、さらには新しいことに挑戦する喜びを抱き、新しい価値創造のために、新たな技術をどのように適用することができるかという学びをこの大学で進めてほしいと思っています。
そして、4年後にはデジタル技術に関する深い学識と高い倫理観をもって、この世界に新しい価値を創造していく人材として成長して欲しいと思います。
皆さんの入学にあたって、ご挨拶とさせていただきます。
入学おめでとうございます。

上野 晶子 様 来賓祝辞

テクノロジーの進化はグローバル化を推し進めています。その中でみなさんの大学時代に身に着けていただきたいことは、コミュニケーション能力とテクノロジーを面白がって使いこなしていく「好奇心」です。

コミュニケーションは蓄積です。たくさんの人たちとのコミュニケーションを重ねることがグローバルな企業で必要とされるダイバーシティーにつながります。

そして、テクノロジーは勉強するだけのものではなく、使いこなしていくことが重要です。常に好奇心をもって、楽しく、面白がって新しいテクノロジーに向き合ってください。

テクノロジー業界は広いようで狭いものです。いつかみなさんとどこかでご一緒にお仕事ができたらいいな、と今から楽しみにしています。

フィオレンツォ・ガッリ 様 来賓祝辞

ご入学おめでとうございます。
名古屋国際工科専門職大学へ

ご入学のみなさん
私はフィオレンツォ・M・ガッリ。
イタリア、ミラノにある
レオナルド・ダ・ヴィンチ国立科学技術博物館で館長をつとめております。

レオナルド・ダ・ヴィンチは
インスピレーションの源です。
彼の好奇心と意志が
科学、技術、芸術など
私たちが人文科学と呼ぶものを
見事にまとめているからです。

皆さんも、将来、
これからの仕事において、
革新、発展、進歩など、
これらの言葉を一つにしたものを
まとめていくことになります。

あなたやあなたの職業に役立つよう、
皆さんの素晴らしい未来と
より良い未来のために
あなたを鼓舞してくれることでしょう。
この晴れの日を共にすることができ、光栄です。
あらためまして、
ご入学おめでとうございます。

この大学での皆さんの学びが
素晴らしいものとなりますように。