テクノロジーを応用し社会課題を解決できるデジタル人材を育成する本学では、2学科5コースに分かれ、企業や社会と連携した実践教育を行います。
情報工学科・ロボット開発コースでは、開発技術要素である「センサ系」「知能・制御系」「駆動系」の3つの要素を有する機械システムをデザインし、社会に役立つロボットとその応用を設計・開発できる人材を育成しています。
今回、3年生の学生たちが企業や社会の課題を解決する新しいロボットサービスの開発に取り組んだ「ロボットサービスビジネス応用」の最終報告会が行われました。学生たちはビジネス視点も加味し、社会での実装も視野に入れた実習です。
授業の紹介:「ロボットサービスビジネス応用」(3年後期・実習)
「ロボットサービスビジネス応用」では、複数のロボットまたはシステムがネットワークを介して連携し、地域や中小企業が抱える課題を解決するソリューションとして、サービスを企画、設計、実装、評価に至るまで、サービスプロバイダとしての“ものづくり”に繋がる開発スキルを体得できる。開発にあたっては、複数のロボット、システム、通信と多岐にわたることから、チーム体制で進行。なお、本実習は、教育課程連携協議会の協力のもと、課題を抱える中小企業、自治体等からの意見を受け、開発対象とするテーマを設定するとともに、協議会委員もしくは課題に関わる関係者により、開発システムに対する評価を受ける。
授業のテーマ
本実習では、地域や中小企業が抱える課題をテーマに設定し、これまで修得した知識・技術を駆使し、課題解決に挑む。
授業の流れ
チーム分けとテーマ決め ↓ 具体化された課題に対してソリューションを企画し、ビジネスモデルキャンパスを用いてロボットサービスビジネスを立案し、外部有識者から評価を受ける ↓ 構想設計(システム構成・リストの作成、担当者のアサイン、要件定義書の作成) ↓ 基本設計書の作成、ハードウェア製作・ソフトウェア開発 ↓ 総合テスト・調整・評価考察・レビュー準備 ↓ 最終報告にて、外部有識者から評価を受ける ↓ 企画したソリューションのELSI(倫理的・法的・社会的課題)とその対策を考察する
課題制作・最終発表 チームごとのテーマ
(1)ホテルあしすとロボット(お客様の荷物運び、道案内業務を代替)
課題
旅館・ホテル業界の深刻な人手不足が社会問題であり、ホテルにおける宿泊客の荷物の運搬や案内業務を省力化すること
提供する価値
宿泊者はいつでも気軽に荷物運び、道案内を任せられること。スタッフ業務を省力化できること
ソリューション
スマートフォンなどのサービス利用端末で建物内に複数設置したQRコードを読み取ることで、スタッフの代わりに移動ロボットがその場所まで移動し、そこから宿泊客の希望する場所へ荷物を運搬するシステム
制作したシステムの構成要素
ロボット(パーソナルアシスタントロボットtemi),サービス利用端末(スマートフォン,タブレット),管理サーバ・UI画面(Node-RED)
ホテルあしすとロボット稼働実験の様子
(2)ダイニングディーヴァ
課題
介護業界での要介護者の増加、深刻な人手不足が社会問題であり、介護施設での食事の配膳、回収業務を省力化すること
提供する価値
介護者の労力削減、他業務や被介護者へのケアの充実、施設におけるサービスの向上や労働満足度の向上
ソリューション
介護施設での食事の配膳に着目し、食事後、食堂に人がいなくなったことをシステムが検知するとスタッフの代わりにロボットが食器を回収するシステム
制作したシステムの構成要素
ロボット(Human Support Robot),管理サーバ・データベース・UI画面(Node-RED),人検出システム(Webカメラ・AI画像処理)
Human Support Robotによる配膳の様子
Webカメラ・AI画像処理をした人検出システム
(3)Next Medi Robot(薬剤師によるオンライン相談・服薬説明・薬の販売補助)
課題
ドラッグストアに駐在している薬剤師の業務の効率化
提供する価値
必要な時に市販薬の相談・購入できること、今まで市販薬を売ることが出来なかった時でも販売できること、少人数の薬剤師で複数店舗に対応できること
ソリューション
店内にある相談コーナーで、お客さんが薬についてAIアシスタントや遠隔地の薬剤師に相談でき、遠隔地の薬剤師によるオンライン指導の下、ロボットが薬をお客さんに提供するシステム
制作したシステムの構成要素
AIアシスタント,データベース,手先カメラ付きロボットアーム(Crane-X7,RealSense)