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2024.04.10
2024年度入学式を挙行しました
AI、IoT、ロボット/ゲーム、CG…関西で唯一の「情報系」新大学として、開学4年目を迎える大阪国際工科専門職大学では、4月6日(土)、2024年度入学式を本学ホールにて執り行いました。
イタリア ミラノのレオナルド・ダ・ヴィンチ国立科学技術博物館や、世界シェアトップPCメーカーのレノボからの祝辞も寄せられました。
式典では、吉川弘之学長からの訓示に続き、レオナルド・ダ・ヴィンチ国立科学技術博物館 館長 フィオレンツォ・ガッリ氏、レノボ・ジャパン合同会社 執行役員専務 河島良輔氏からの祝辞、また、在学生代表による歓迎の辞、新入生代表による入学の詞、そして最後に、浅田稔副学長による式辞が述べられました。
大学生活をスタートした新入生たちは、これからの4年間に期待を膨らませていました。
レオナルド・ダ・ヴィンチ国立科学技術博物館 館長
フィオレンツォ・ガッリ氏
レノボ・ジャパン合同会社 執行役員専務
河島良輔氏
在学生代表 歓迎の辞
新入生代表 入学の詞
大阪国際工科専門職大学は、世界のICT・デジタルコンテンツ業界と連携した先進的な実践教育で、グローバルに活躍できる高度プロフェッショナル人材を育成します。
学長訓示 全文
入学生の皆さん、入学おめでとう。ご家族の皆様にも、おめでとうと申し上げます。
また、大阪国際工科専門職大学の教職員一同、心から皆さんの入学を歓迎します。
入学生の皆さん、今日は今までに経験した小学校、中学校、高等学校とはちがう、大学という新しい空間に足を踏み入れる日ですから、大学とは何かをここで考えてみます。大学ですから、学問を学び、身につけるところであることは、当然です。しかし、学問とひとくちに言ってもそれは長い歴史を持ち、さまざまな研究によって歓迎されたり否定されたりして作り上げられたものでいろいろあります。(物理学、生物学、経済学など皆さんも知っている。宇宙を知ろうとする、観測と思考)その中で、この専門職大学ではどのような学問を学ぶのか。
1.学問の成立
学問とは世界に存在している物あるいはことを選びだし、それが何ものであるかを調べ尽くすという方法によって、存在しているものの性質、本質に関する人間が作り出した知識であり、これは古く中国、そしてギリシャなどで、考えることを専門とする人たちが生み出してきたものであり、それは人間が自然の中で、自然と調和しながら、また社会をつくりながら生きて行くために役に立つ知恵であったということが出来ます。
2.邪悪なるものとの戦い
特に人類が発展して行く時代は、外部から襲って来る危険に対抗する時代であったと言えます。嵐、洪水、旱魃・猛獣、ばい菌など。これらと戦う中でそれぞれの分野で知恵を作り、それが体系化されて学問になったと言って良いでしょう。その結果、学問には多くの領域があり、私たちはそれを全部知らなければいけないのだけれど、一人で全部は無理なので、それぞれの領域の専門家を作って、異なる専門の人たちが協力して仕事をする社会になっていったのです。現代では、学問は人類に共通して重要な知恵で、人々がそれぞれ特定の部分を専門として持って仕事をするという社会になっています。
3.現代の邪悪なるもの
ところで、私たちの時代、いま、21世紀はどのような状態にあるのか考えてみます。
自然の敵はほとんど制御可能となり、人類を襲う邪悪なるものを排除して、安全で豊かな世界を実現したと考えるのが20世紀までの人類が到達した結論です。しかし、それは誤りでした。現在は人間の行動自身が作り出した邪悪なるものと呼べる怪物が出現したのです。現在の自然をみると、地球環境劣化、気候温暖化、海流変化、などが大きな被害をもたらしており、一方、国家間対立の激化で、飢餓や貧困の増加、しかも戦争という最も恐ろしいものを復活させてしまいました。これを何とか克服したい。考えなければならないのは、過去のように、問題別に学問を作って克服するという人類が得意とする方法で現代の邪悪なるものを克服できるのかが問題です。
4.新しい知恵
現代の難しい問題を解決しながら、人類が生きて行くにはどうすればよいか。それは今までの領域化した科学者の誰かに依頼しても駄目で、あらゆる組織、政府を始め、企業も個人も考えなければならない時代になったといえます。その中で、最も重要なことは、これらの現代の問題は、学問の知識を必要とするが、一つの学問領域だけでは何も解決しない問題が多く起こって来ている事実です。大学という所は、そのために必要な知恵を作り出すという役割を持っています。
しかし大学は、専門領域を担当する教授たちの元で、学生がその専門を学習し、特定の学問分野の専門家として卒業していくものですから、多くの異なる領域の専門家の協力、大学の協力が必要です。
一つ例を挙げましょう。国連が作ったIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change 1988 気候変動に関する政府間パネル)は世界中のいろいろな学問的立場で気候変動を研究する学者が、大学の支援のもとで参加して、いろいろな見方で気候変動を予測し、その対策を共同で創り上げ、提案し続けています。これは国を越えて、専門領域の異なる学者が協力するという組織で、人類としては初めて専門を越えた学者が協力して知恵を作るという集まりであり、これは新しい学問の形であって、新しい試みで、しかも地球環境保護という大きな人類の課題に重大な貢献をしています。しかしこれに類するような組織は、試みはあるが、大きな世界の流れをつくりだすには至っておらず、これから努力しなければならないと考えられています。
5.新しい問題
これからの社会では、環境問題という現代の邪悪なるものだけでなく、人という、自由に考える能力をもつ存在が考え出すさまざまな物あるいは課題について、多くの専門家が考えなければならない場面が多くなります。たとえば人類の知的世界に介入する情報関連の新種の企業や倫理的配慮を必要とする医療産業、工業では人から離れて行った工場向けの自動機械が家庭やオフィスに帰ってくる状況を迎えて、また倫理的思索が最重要である政治家の意思決定、基礎研究課題における重要性評価など、多くの専門分野の知識が必要な議論を行う集団のなかで人がどのように対話し、協力するかという問題が、その集団の成功にかかって来る時代となって来たのです。
いま、この様な新しい集団の中の人々が、どのような能力、資質を持っていればよいのかを深く考える必要な時代が来たのです。
6.専門職大学
大学とは何かを述べるときにいわれる、「そこで学んだ者は、学問を深く理解する者」という言葉がありますが、その学問が、数多くある学問領域のひとつに限定して深く理解すると言っているのが問題であるとわたしは考えています。すでに述べた様に、社会における新しい問題、課題は、特定の領域知識で解決できるものでは無いのです。しかし、だからといって、ひとりで多くの学問領域の知識を深く身につけることが本質的に難しいことは長い歴史を通じて理解されています。それではどうすれば良いのか。
その一つの方法が、「社会の中のデザイナー」「Designer in Society」という人間像であり、この専門職大学で学んだ者は、分析、理解を主な目的とする学問ではなく、デザインという学問を身に付ける、しかも、社会の中にいて、社会の期待を感じ取る能力をもつ社会のなかのデザイナーになるのです。
感じ取ると言ってもよくわからない、感じ取るとは、何が期待か社会に聞くのではなく、それを自分で感じ取る。これはどのようなことか。
そこには社会の期待とはどのようなもので、どうやって見つけるのかという問題があります。それは学問にとってこれから解かなければならない大きな課題なのですが、簡単にいえば、学問を一人一人が社会の中で生きながら作り出すということです。
学問を作るのは難しい様な気がしますが、それは社会の中で、暮らし、仕事をし、いろいろな人から感じ取るということで、実際に誰でもがやっていることであり、その感じたものを、自分の中の知識として記憶しておくことが大切で、その様にして蓄えられた知識が、一人一人の学問です。
今日皆さんが参加した専門職大学では、個別の学問を教わることに加え、企業などの実習に参加して、実際の仕事を経験することによって社会とは何か、何が問題で、どのようにしたいのか、それは人によって様々ですが、そのような人々がどの様な協力をして居るのかなどを体で感じ取って、社会の中に潜んでいる課題を自ら発見し、記憶するのです。このような経験を大阪国際専門職大学ですることにより、社会のなかのデザイナーになって行くのです。
皆さんがこの大学で、学問を学ぶと同時に、自分がその中にいる社会とは何かを感じ取り、社会を善きものとする目標を持つものになることを願っています。
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