「ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2023 in Nagoya」での発表を情報工学科3年生が行いました
「ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2023 in Nagoya」(通称ROBOMECH2023)において、情報工学科3年生(ロボット開発コース)の小林洋二朗さんと宮本康平さんがポスター発表を行いました。
本講演は「日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス部門」が主催する講演会で、「新たな時代を創るロボティクス・メカトロニクス」をテーマに、最先端の研究や技術開発のための交流の場として開催され、名古屋国際会議場を会場として行われました。
当日は、各大学の研究者や学生、ロボティクス・メカトロニクス関連企業の皆さんから、水中ロボットや宇宙ロボット・福祉の現場で活躍するロボットなど様々な技術が紹介されました。
その中で、本学の小林さんと宮本さんは、「バルーン二足歩行ロボットの姿勢と制御に関する検証」をテーマにポスター発表を行いました。
小林洋二朗さん
ロボットの制作
2022年8月頃に開始した研究において、ソフト二足歩行ロボットの歩行推力安定化を目的とした脚部機構の設計開発と実装、検証行いました。この頃のソフト二足歩行ロボットは、先輩方が先行研究を行っていた頃より時間が経過していた為、劣化などを理由に自立歩行が困難な状態となっていました。そのため、まず先行研究を行っていた頃の状態に戻すという事が初めの目標となりました。
研究の度に、抜けた分のヘリウムガスの注入を行い、各部パーツの交換や、脚部の形状変更(不要な部分の切り抜き)等を行いましたが、修正直後は一時歩行可能になったように見えるものの、歩行が可能な状態を維持するには至りませんでした。
ソフト二足歩行ロボットの本体バルーンをみるかぎり、先輩方が歩行させていた頃よりもヘリウムガスを多く入れているにも関わらず、このような結果となっていたことから、一つの仮説が立てられました。これまで研究の度に、抜けた分のヘリウムガスを注入していましたが、この際にヘリウムガス以外の気体が一緒に入り込むことで、一見ヘリウムガスが満タンに入っているように見えているだけなのではないか、という仮説です。
そこで一度、ソフト二足歩行ロボットの気体を完全に抜くことで、バルーン内の気体のリセットを行いました。そして再度ヘリウムガス注入したところ、満タンにせずとも歩行を実現させることができました。ここまで多くの思考錯誤と失敗を繰り返していたこともあり、自立した際はとても感動したともに、こんな簡単なことだったのかと少し落胆しました。
今回使用しているロボットは、ヘリウムガスより得られる浮力によって自立しているため、新しく取り付けるパーツは、可能な限り軽量である必要がありました。必要な機能は実装しつつ軽量化を求められる設計は、とても困難なものであり設計に多くの時間がかかりましたが、設計工程も含め、とても有意義で楽しい経験となりました。
ここで設計した回転式テンション調整機構をソフト二足歩行ロボットに取り付けて歩行動作の確認を行ったところ、自らの製作した機構が歩行の推力に大きく関わっているということを実感することができ喜ばしく思いました。
発表を終えて
ロボットに関する知識も、論文作成やポスター発表に関する知識も何もかも足りない状態から始まった研究ではありましたが、発表までの約11ヶ月を通して多くのことを経験し学ばせていただきました。私一人では到底実現し得ないことを、多くの先生方や家族、先輩方や後輩、同期達に助けられ、やりきることが出来たという事実を大変うれしく思います。
特に研究アイデアをくださり、お時間の無い中、指導し見守ってくださった西田先生、ソフト二足歩行ロボットの歩行やテンション調整機構に関する助言を何度もくださった荒金先生, 水上先生。先生方がいらっしゃらなければ私が研究を始めることも、ここまでやりきることも絶対に出来ませんでした。11ヶ月という長い間を支え、ご指導くださり本当にありがたいです。
また、忙しい中、共に問題点の洗い出しを行ってくれた先輩方、グループ課題の多い時期を支えてくれた同期達、ここまで一緒に研究を行ってくれた宮本君、ソフト二足歩行ロボットの製作を手伝ってくれた後輩達にも感謝しています。
※小林洋二朗,荒金匡德,西田麻美:
SMAアクチュエータにおけるテンション調整機構の開発,ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2023 in Nagoya 予稿集, 2P2-E14, 2023.(名古屋国際会議場)
宮本康平さん
発表に向けて
発表形式はポスターセッションでした。経験上、参加者の方々はポスターの始めから聞いてくださるとは限りません。 今回の場合、ロボットを展示していたので十中八九ロボットの詳細から聞かれることが想定できました。 その為、発表台本は作らずに各内容をしっかりと把握して説明できるようにしました。 そうすれば部分部分で説明することができ、柔軟に対応ができると考えたからです。 また、台本があるとその内容を意識してしまって端的な説明ができなくなると思いました。
そして、何よりも意識したのは気持ちです。 如何に、この研究が魅力的であるか伝えることも私の役割であると思いました。 ですから、発表するときは楽しそうな声色や表情をするなど感情を込めながら説明をしました。 もちろん、実験の説明をするときは苦労の表情を持って説明することもありました。 何よりも聞いている人を飽きさせてしまってはせっかくの研究の魅力を伝えることはできません、聞いている人を楽しませることが必要なのです。
当日は参加者の方の多くは大学院生や博士の方でした。 説明を行う際には最初からお話しをしてくださいと言われることが少なくありませんでした。 ですから, 台本を用意しても良かったと思います。 全く考えもしなかった内容について質問されたり、 全く分からない高レベルの質問をされたりと、肌で学会を感じることができて感無量でした。 再度また参加したいと強く思いました。
発表を終えて
約1年間この研究に関する活動を行ってきました。 ロボットが歩いてくれなかったり、 データがうまく取れなかったりと実験が上手くいかなくても諦めずに行えたのは、西田先生、水上先生、荒金先生の手厚いサポートのおかげです。
先生方には研究の何も分からない中、イチからたくさんのことを教えていただきました。 課題に直面した時は、 お時間を作ってくださりアドバイスをくださいました。 そのアドバイスは私には無かった観点からのものや考えのつかなかったことがほとんどでした。
この期間は私の大きな学びとなり、貴重な経験となりました。 この経験によって自分に自信を持つことと自分の視野を広げることが出来たと思います。 先生方には本当に感謝しています。今後は、この経験を糧に大学での学びや就活に取り組んでいけたらと考えています。
また、 研究に関しては一度これまで行ってきたことを振り返り、新たなテーマを考えたいと思います。そして、一緒に研究を行った小林君や手助けをしてくれた同期や後輩達がいなければ常に研究に向き合うことは出来なかったと思います。皆さん、本当にありがとうございました!
※宮本康平, 水上憲明, 西田麻実:
バルーン二足歩行ロボットの姿勢と制御に関する検証, ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2023 in Nagoya予稿集, 1P1-H21, 2023.(名古屋国際会議場)
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