2024.04.05
AIQVE ONE株式会社の杉山博康氏による、ゲームの定性レビューに関する特別講義・ワークショップを実施しました
実務とつながる実践カリキュラムを実現した本学では、各界のスペシャリストやパイオニアによる特別講義などによって、業界の最前線を学ぶ機会があります。
ゲームのQA(品質保証)やユーザーテストを実施し、近年ではAIによる自動化テストにも力を入れるAIQVE ONE株式会社の杉山博康氏を特別講師にお迎えし、ゲームの定性レビューに関する特別講義・ワークショップを実施しました。
講義テーマ「ゲームの面白さを多面的に分析し、考察する定性レビューを体験」
成長を続けるゲーム業界。ゲームの大作化や運営の長期化が進む中、QA(品質保証)やユーザーテストを専門に実施する企業の存在が注目されています。
完成直前のゲームをプレイして、バグ出しを行うだけでなく、ゲームの企画段階から関与して、よりターゲットユーザーに適した内容になるように調査を行ったり、ゲームのバランス調整をしたり、AIを駆使して自動化テストを行ったりと、その役割も多種多様。まさに、ゲーム開発に不可欠な存在になっているのです。
そこで今回、ゲーム業界を専門にQAやユーザーテストを実施するAIQVE ONE株式会社の杉山博康氏を特別講師にお迎えし、モバイルゲームの定性レビューに関するワークショップを実施していただきました。学生は実際にサービスされているモバイルゲームをプレイしながら、ゲームの面白さや改善案について、グループディスカッションを行い、シートにまとめてプレゼンテーションを行いました。
今やモバイルゲームといえども、1作あたり数十億円の開発費がかかることが一般的。企画段階から市場調査やユーザーテストを繰り返しながら、ゲームのクオリティを高めていくことが求められます。そのための方策には、アンケート調査に代表される定量調査と、テストプレイヤーのプレイスタイルを観察したり、インタビューを行ったりする定性調査があります。こうした背景を踏まえつつ、学生自身がレビュアーとなってゲームをプレイし、考えたことや感じたことをワークシートに記述していくワークショップに挑みました。
ワークショップはまず、杉山氏による定性レビューの特徴や進め方に関する講義からスタートしました。杉山氏は「ゲームは他のサービスと異なり、不具合をゼロにすることよりも、面白くすることのほうが求められる」と切り出しました。そのうえで、定性レビューを行うことで、ゲームの「面白さ」をユーザー目線で分析し、開発チームにフィードバックできると説明。ゲームを遊びながら、どういった観点で評価していくか、同社が実際に行っている評価方式に基づきながら説明しました。
その後、学生たちは、はじめは個人ベースで、後半からはグループにわかれて、課題ゲームを遊びながら、ゲームの面白さや改善案について話し合いました。ただ感想を共有するだけでなく、同社の評価方式やワークシートにもとづいて議論をすることで、より深い議論がなされました。また、1年生から4年生まで、さらには情報工学科とデジタルエンタテインメント学科の学生が互いにまじって議論をしたことで、お互いに学びあったり、新しい気づきを得られたりと、特別授業ならではの学修風景がみられました。
最後にグループワークの成果をスライドに整理して、グループごとに発表が行われました。杉山氏からは「本来なら何日もかけてレビューを行うところを、半日のワークショップで、かなり駆け足で進めたにもかかわらず、どのグループもしっかりと言語化ができていて良かった」と講評をいただきました。
学生からも「とても有用な話を聞くことができました。この知識を今後の活動に生かしていきたいです」「今回の授業を生かして、いま遊んでいるゲームの人気のポイントや、改善点などを探ってみようと思った」などの感想が聞かれました。
ゲーム開発が大規模化する中で、QAやユーザーテストの重要性は、さらに増しています。また、ゲームの面白さを言語化し、他人と共有する訓練は、ゲームの企画書作成や、ゲーミフィケーションを生かした商品企画などにも有効です。
本学では、これからも「産学連携人材育成」という観点で業界第一人者による特別講義を実施して知見を収集・蓄積し、それらを体系化する学びや活動を続けていきます。
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