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2020.05.20
東京国際工科専門職大学 2020年度第1期生入学式をオンライン配信にて開催しました

2020年度第1期生入学式

「AI・IoT・ロボット」「ゲーム・CG」の専門職大学『東京国際工科専門職大学』は、日本で初めて工科分野として文部科学大臣より認可を受け、この度開学しました。2020年度入学式は4月5日(日)に第1期生230名が一堂に会して盛大に行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、オンライン配信にて開催しました。(2020年4月3日実施)

本学では学生の感染リスク軽減を第一に考え、ICTや映像分野のプロフェッショナルである本学教職員の知識やスキルを総動員して、4月3日から新入生向けオリエンテーションや授業をオンラインにて実施しています。1日も早く、第1期生の皆さんと対面で授業できるようになることを祈っています。

東京国際工科専門職大学 学長 吉川弘之
世の中は変わり、新しい製品やシステムを生み出すイノベーションが求められています。また、温暖化をはじめとする地球規模の災害や、経済成長に伴う格差の増大、国際関係の不安定化や対立など困難な社会課題が山積みです。現代社会には、このような様々な時代の要請に応える専門職が必要とされています。本学は、学習や研究、企業内での経験を通して、時代の要請を学生ひとり1人が自ら発見して対応していくことを目標としています。大変な時期での入学式ですが、新しい学習と大きな使命が待っている東京国際工科専門職大学のメンバーとなったことを自覚して、今日から新しい学習の日々を送ることを期待します。

→ 学長式辞 全文はこちら

新入生代表
情報工学科 新里美結

モノを生み出すということは少し先の新しい世界をつくることにつながると思います。私たちはモノをつくると同時に未来をつくる人になるのだと思います。世界に新たな風をふかし、心躍るものを生み出そうとしている私たちにとっては、世の中が大きく変わろうとしているこの時に、こうして無事に新たなスタートを迎えられたというのはよい始まりだといえると思います。先の見えない今日だからこそ、予想もつかない楽しい未来をつくっていきましょう。

新入生代表
デジタルエンタテインメント学科 髙橋行美

舞台表現にVRを組み込みたくてこの大学に出会いました。1つの分野から得られた知識を、他の分野にも応用し活用するという考えに惹かれ、入学を決めました。学科の垣根を超えて自分とは異なる様々な価値観に触れることで自分の視野を広げていきたいと思います。私たち新入生はこの恵まれた環境の中で仲間とともに勉学に励み、教職員の皆様のご指導を受け、社会の第一線で活躍できるような人になれるよう努力してまいります。


【学長式辞 全文】

入学おめでとう、東京国際工科専門職大学は皆さんを心から歓迎します。
皆さんは今日を迎えるまで、小学校、中学、高校と勉強をつづけ、そこでたくさんの知識を学び、そして自分で、自分自身で考える力を獲得してきました。そして今度は大学で、知識を学習し、創造的なデザインを経験し、それをもとに社会へ入って活躍することを目指して、新しいこれからの4年間を過ごす計画に胸を膨らませていることと思います。

皆さんはこの大学にとって、2度とない新しい学生です。それは、東京国際工科専門職大学が今年開学する新しい大学だからです。皆さんはその最初の大学生、第一期生です。第一期生であることは永久に変わらず、皆さんはずっと東京国際工科専門職大学の第一期生、ほかにいません。

この大学は、国が新しくつくった法律、専門職大学の制度にのっとってつくられたものであり、現在750以上あると言われている大学の中に、時代の要請に応えてつくられた新しい種類の大学として出発するものであり、卒業生はこれからの時代を支える人となることが期待されているのです。この意味でもほかにない学生です。

私たち教員、職員は、新しい大学をデザインするために何年もの間、情熱を持って取り組み開学に至ったのです。そして今、この大学の考え方に共鳴して、非常に高い競争率を突破して入学を果たした皆さん、そしてそれを理解し支援していただいたご家族の皆様とは、時代の要請に応える大きな目標に向かう我々とともに同じ目的を持つ、一つの共同体であると考えています。

今の時代は混乱していて、そこには様々な時代の要請としての課題があります。まず私たちはより豊かでより安全な世界をつくることを願っており、そのためにはより多くの知識をつくることが要請されています。一方現代を特徴づける困難な問題があります。今一番身近な問題は、新型ウイルスとの闘いでしょう。しかしこれよりも前に、多くの問題が起こっています。環境の変化によって起こる温暖化を初めとする地球規模の災害、急速な経済成長に伴う格差の増大、国際関係の不安定化や対立などがあります。より細かく見れば、日々進歩する科学技術の知識を使った新技術、それは人類に大きな恩恵をもたらしますが、一方で産業競争を通して起こる資源の枯渇、エネルギーの不足、廃棄物の増加、などがあります。このような問題の克服も時代の要請です。

このような様々な要請を前にして、それに応える人たちが求められており、応えるのが専門職なのです。専門職とは、社会を発展させるために必要な専門知識を持って行動する人々です。専門的知識を持った人々は、700もある大学の長い教育の歴史の中で、大学を卒業した人が大勢社会にいるのではないかと考えられますが、それだけでは不十分であったと考えられます。例えば電気工学を学んだ学生は、電気工学の専門家として社会で仕事をします。この専門家は、電気工学や機械工学の中のさらに小さな分野、例えば回路理論とか構造力学などの知識を十分持っていて、自分の分野のことなら何でも応える能力を持っています。大学はこのような狭い分野ごとに高い能力を持つ技術者を育て、世に送り出してきたのです。かつての日本では、このような専門家が必要でした。しかし、世の中は変わり、現代の要請にこたえる新しい製品やシステムを生み出すイノベ-ション求めています。そこでは電気や機械の高度な知識を別々に要求しているわけではありません。世の中は、安全で快適な自動車や大容量の情報を送れるシステムなどを望んでいるのです。そしてそのためには、広い、広範な知識と、それらの知識を組み合わせる能力が必要です。しかも世の中で何が求められているかに対する感受性も持たなければなりません。このような現代が求めている若者は何を学べばよいか。

これらの、大きな社会的目標である課題を前にして、私たちはどのような教育システムをつくればよいかを考えました。それには教育研究のための新しい哲学が必要であり、その哲学に立って科学技術を新しい形で進歩させようと決意しています。その哲学とは、伝統的な学問、また科学技術の基礎研究は恩恵をもたらすが、研究で得られる発見・発明に基づく知識をそのまま経済的優位だけを考えて産業化するのでなく、その知識が将来、社会が本当に望んでいるものを提供できるのかを十分に考えながら現実に応用するという考え方であり、知識は一つ一つ学ぶのではなく、使用時にどのようにまとめられるかという、知識の使用までを含んだ学問が必要であるということでした。この「知識の使用」という課題は今まで、科学としてはあまり論じられることがありませんでした。基礎研究は知識を作ることが目的とされていたのです。私たちはこの知識使用の学問分野を「デザイン学」と呼びますが、これはまだ完成したとは言えず、完成した学問領域でつくられる現在までの大学教育課程で学ぶことはできません。東京国際工科専門職大学の教育課程は情報の専門職に的を絞っていますが、幅広く工科の科目、人間社会の科目、科目間の関係を学びます。また、企業活動を経験しながらそれが何に役立つのか、現在だけでなく未来の社会でも求められるのか、これらを含んで幅広く考え、分野の違う人と協力する方法を学び、学習や研究、そして企業内での経験を通して、時代の要請を一人一人が自ら発見し対応して行くことを目標としています。これが専門職になることです。この目標の達成によって、社会に出た卒業生が専門職として社会の要請に応える仕事をし、一方大学での教育研究の経験がデザイン学という新しい学問をつくり出す場にもなることを期待しています。

東京国際工科専門職大学はこれらを目標とする広場です。広場というのは、多様な専門をもって教育する教員と、それを学習する多様な夢を持つ学生とが、実際の社会を動かしているこれも多様な事業、それは行政、産業、文化事業などですが、これらの協力を得て、一つの共同体として目標に向かうからです。今日は、この広場に人々が集まってきて活動を始める出発点です。

今日の入学式は、本来ならすべての新入生が一堂に集まって教員とともに祝い、これからの勉学を誓うものであるはずですが、今年はそうはいきませんでした。新型コロナウイルスの侵入により、いま私たちは自由に動き回ることができない状況に置かれていますが、この見えない敵と戦うのは、私たち人間がウイルスの活躍を止めるための叡智と行動力です。いま私たちは、専門の医師、看護師、感染の専門家、公衆衛生の専門家などの専門の人たちが懸命に状況認識して社会に提言するのを見ていますが、今この人たちは専門職の立場に立っており、専門職として、専門知識を使うと同時に社会の目的のために協力して働いています。この人たちがこの時期を乗り切ったとき、私たちは新しい人間の知恵と力とを獲得するのだと思われます。

大変な時期での大学の入学式となりましたが、皆さんは改めて専門職の大切さを感じながら、楽しい学習と大きな使命が待っている東京国際工科専門職大学のメンバーとなったことを自覚して、今日から新しい学習の日々を送ることを期待します。

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